中国の研究チーム,新型コロナワクチンの動物実験結果を発表
2020-05-11 15:18

【新華社北京5月10日】中国医学科学院医学実験動物研究所など複数の研究機関が共同で完成させた,新型コロナウイルスワクチンの初の動物実験の結果に関する研究論文がこのほど,国際的学術誌「サイエンス」に掲載された.

今回実験結果が公表されたワクチンは,北京科興中維生物技術が関係研究機関と共同で開発したもので,4月13日に国家薬品監督管理局から第1段階と第2段階の臨床試験許可を取得.初めて臨床研究の承認を得た新型コロナウイルス不活化ワクチンの一つとなっている.

公表された結果によると,このワクチンはマウスやラット,非ヒト霊長類において,新型コロナウイルスに特異性が高い中和抗体の産生を誘導.これらの抗体は,複数の国で採取された代表的な新型コロナウイルス株の多くを中和することができた.

アカゲザルを使ったウイルス攻撃実験の結果,ワクチン接種で免疫を獲得したアカゲザルは,非接種対照群と比べ,肺組織の病理学的変化が大幅に減少し,ウイルス量も有意に減少した.研究者は6マイクログラムのワクチンを接種することで,新型コロナウイルスの攻撃に対する完全な防御効果が得られ,3マイクログラムでは部分的な防御効果が得られると考えている.

臨床指標や生化学的指標を観察したところ,ワクチンを接種したアカゲザルには発熱や体重減少が見られず,食欲や精神状態も正常なままだった.リンパ球サブセットの割合や鍵となるサイトカインも,非接種対照群と比較して,有意な変化がなかった.また,さまざまな臓器組織の病理学的評価からも,このワクチンが顕著な病理学的特徴を引き起こさないことが示された.研究者はこれらの結果により,ワクチン候補がアカゲザルに対して安全であることが示されたとの見解を示した.

中国では既に複数の新型コロナウイルスワクチンの臨床試験が承認されている.科学技術部の関係者は国務院合同予防抑制メカニズムの記者会見で,ワクチンが健康な人に使われることから,緊急プロジェクトであっても科学面や手続きが重要であり,科学面や安全性,有効性が大前提であるとくり返し強調した.

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